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産婦人科からのお知らせ

公開日 2017年05月17日 NEW

FT(卵管鏡下卵管形成術)外来について

静岡厚生病院 産婦人科では、2017年5月よりFT外来(毎週月曜AM・木曜AM ※予約制)を開設しました。


〇FT(卵管鏡下卵管形成術)とは
 不妊症の原因のうち、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)である「卵管性不妊症」の患者様を対象に、カテーテルを膣から子宮、卵管まで挿入し、詰まった卵管を拡げる術のことを言います。メスなどによる切開をせずカテーテルを挿入するため、身体への負担が少なく治療と同時に卵管内の状態を確認することもできます。


つまり、「体外受精ではない(によらない)、自然妊娠するための手術(不妊治療)」なのです。

 不妊症の定義:「継続的に性交を行っても、1年の期間をおいて妊娠の成立をみない場合を、不妊と定義する」
 1)※平成27年8月から(日本産科婦人科学会)



〇背景
現在国内には約100万(10組に1組)の夫婦が不妊であると言われております。不妊症の原因は、男性因子と女性因子に分けられます。
女性因子には、
・排卵因子(排卵障害)
・卵管因子 ※1)(閉塞、狭窄、癒着) 最多
・子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、先天奇形)
・頸管因子(子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など)
・免疫因子(抗精子抗体など) + 「ピックアップ障害」  などに区別されます。

 不妊の原因は、卵管の問題が30%以上であり最多となっております。その場合、治療法はFTか体外受精となります。


 近年では、体外受精の技術が飛躍的に向上したことで体外受精が増加しており、2012年には32万件を超え、約27人に1人が体外受精により妊娠、出産されています。卵管閉塞の診断がなされた場合、体外受精が選択される傾向にありますが、FTによる卵管開通率は90%以上で、その後の※2)妊娠率は約30%と報告されており、自然妊娠を希望される多くの患者様が適応となります。
また、体外受精での妊娠率も上がると考えられております。

FTは特殊な機械と技術を要する手術のため、実施可能な施設が限られますが、
・術後の痛みや出血はほとんどないこと
・健康保険や高額療養費制度の適応ともなること
から、体外受精によらない妊娠を目指す不妊治療として、現在注目されている手術であります。


※当院では、腹腔鏡・子宮鏡を併用しFTを行っております。この手技を行うことにより、子宮内腔の観察も可能となるほか、卵管内にバルーンを進めることができます。
※子宮筋腫や子宮内膜症を合併する場合には、腹腔鏡手術でFTを同時に手術することも可能です。(これも健康保険の適応)
※当院では麻酔科管理のもと、全身麻酔下で行っております。



※1)卵管因子
卵管は妊娠成立に対し、重要な役割があります。卵巣から排卵する卵子を卵管采で回収し、蠕動運動にて子宮側へ運搬する一方、精子は卵管を逆行し、卵管膨大部で受精、そして約1週間にわたる胚成長のための生殖環境を提供するといった、配偶子の出会いと成長の場をつかさどる重要な役割を担っています。卵管が閉鎖(卵管閉鎖)したり癒着(卵管癒着)を起こしたりすると、卵子や精子、受精卵が卵管を通過できない状態となり、不妊の原因となります。検査方法として、子宮卵管造影検査で診断します。この検査は、子宮の中に造影剤を入れながら、X線写真を撮影する方法です。卵管閉塞や狭窄、卵管采癒着、卵管水腫の有無についてチェックします。

※2)妊娠率
 FT手術後、生理周期をリセットするのに約1ヵ月、その後タイミング療法に3ヵ月要します。この間に妊娠する確率が、当院では約50%となっております。
 (他院の30%より高いのは、腹腔鏡を併用して卵管内をカテーテルが進んでいることで確認しているため、術者の手の感覚によらず、確実に通すことができるため)

 しかし、妊娠しなかった残りの50%については他にも原因がある場合があります。(子宮の問題・卵巣の問題・子宮周囲の癒着 等)

■子宮の問題
・子宮筋腫:腹腔鏡下に摘出(LM)
・子宮内膜ポリープ:子宮鏡下に切除(TCR)
・帝王切開術後:子宮鏡下に切除(TCR)
■卵巣の問題
・卵巣腫瘍:腹腔鏡下に摘出(LC)
■子宮周囲の癒着
 癒着を剥離し、吸収性の癒着防止のシート〈インターシード®〉を留置


〇その他
FTは体外受精の代替治療となりうる治療方法であると考えられています。ただしその効果は永続的ではなく、手術後6–8ヶ月を過ぎると、妊娠率が低下します。FTを施行後6ヶ月程度は、タイミング療法や人工授精を試みますが、それでも妊娠に至らない場合には、再度FTを行うか、体外受精へのstep upを考慮します。例え、体外受精へのstep upした場合、妊娠率を上げることにもつながると考えられています。


〇お問い合わせ先
産婦人科外来・2階病棟
℡:054-271-7177(代表)
※平日:午後2 時~4 時

〇医療費支払いについて

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